大事な大事な家族の一員なのに、ペットに関する損害は物損扱いです。ちょっとそれってどうなの?という方も多いかと思います。
内容としては治療費や葬儀費用などが判例で認められる傾向にあります。他には平均寿命を考慮しての財産的損害を認めた判例、また盲導犬などの場合、育成費用を残余活動期間の割合に応じて減じた価値を客観的価値として算定した判例などがあります。
ペットの時価相当額を超えての治療費が認められている判例もあります。以前書いた経済的全損とは異なりますね。「一般に不法行為によって物が毀損した場合の修理費等については、不法行為時における時価相当額に限り相当因果関係がある損害とされているが、愛玩動物のうち、家族の一員であるかのように遇されているものが負傷した場合の治療費等は生命をもつ動物の性質上時価相当額に限られるとすべきではなく、当面の治療費、生命の確保、維持に必要不可欠なものについては、時価相当額を念頭においた上で、相当因果関係を判断すべきものとし」(名古屋高判H20.9.30)としています。
また、前回物損での慰謝料は原則認められない、ということを書きましたが、長い間家族同然に飼ってきたことを理由として慰謝料を認めた事例や、重い障害を負った事例で慰謝料を認めた判例もあります。やはり大事な家族の一員ですものね、「愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情」ということなのですね。